概念

『一人のパティシエが従業員に「客に出す事を想定して紅茶を注いでみてくれ」と言った。従業員はコップになみなみと紅茶を注ぎ差し出した。パティシエは言った、「こんなの客に出せるか！」と。そしてパティシエは手本を見せるべく、コップに氷を入れ8分目まで紅茶を注ぎ最後にはレモンを飾って「こうやるんだ。」と言った。出来上がった紅茶を見て従業員は、コップから氷とレモンを取り「私はこんな中身の少ない紅茶を金を出して飲もうとは思わない！」と反論した。』
これは日本人パティシエが中国に美味しいスイーツや紅茶を出す店をOPENした時の話だ。従業員はもちろん中国人。中国人が飲み物の価値を"量"に求めるのに対して、日本人は「質」に価値を求める事の【概念】の違いが良くわかる話だと思う。
今日は私の持つ【概念】について"過去"と"現在"を比べながら書いてみようと思う。"過去"とは借金を積み重ねていた時、"現在"とは借金に未来の危機を感じ立ち直ろうとしている今の事。
まずは"金"について。
過去、消費者金融に手をつけてからの概念は"金なんてあって当たり前"、"手にしようと思えばいつでも都合できる便利な道具"であった。手元に自分の趣味や娯楽に関する金が無いのはおかしい、せこい人生なんてつまらない、どうせ短い人生なら面白おかしく生きよう、金なんて後でどうにかなるさ、これが間違った概念を作り出した私の頭の中だ。カード一枚で小遣い以上の万札が簡単に出てくる、この感覚が病み付きになり、果てには普通となってしまっていた。好きなものを食べれて、好きなものを買えて、時間を自分好みにカスタマイズできる、金があればなんでもできる現代は金の無い私を虜にした。
現在、"努力なくしてお金が無いのは当たり前"、"作り出すのは相当な労力を必要とする"というのがお金に関する概念だ。オークションで物を売りに出す手間、アフィリエイトをする為に必要なものを揃える手間、仕事で時給に換算すると1000円いかない中でこなす仕事量、普通に生活しているといかにお金を得るという事が大変な事かを身に染みて感じた結果だ。
次は"仕事"に関する概念。
過去、ただ就職して親を安心させてあげればいいものだと思っていた。言われた事をやり、積み重ねた年数と経験の分だけ給料が段階的に上がっていくものだと思っていた。それが人生だと思っていた。これは明らかに甘えと時代を読めていない愚かさを象徴する考えであり、一言で言えば偽者、まるで自分が無い。
現在、仕事とは自らの努力で楽しめるものとして変えていくものだと考えている。楽しめた分だけ経験として糧となり、それに伴って給料というお金が付いてくるものだと思っている。あくまでおまけとしての収入であり、地位なのだ。この考えなら安月給でも将来に希望を持って仕事ができる。"前向き"という言葉を私は良く使うが、人生において一番前向きさを出していかなければならないのが仕事だと思う。上流、またはプロと言われる人達は例外なくこのような考えのもとに仕事を楽しんでいる人達ばかりなのだ。
最後は自分自身について。
過去、テレビに出る人や本に載る人、それらによって作られるいろいろな人間の形のイメージ全てが雲の上の存在であると思っていた。自分は運命と言うものを背負い、借金も含めて型にはまった決められた人生を歩むべきだと決め付けていた。このような間違った"自分らしさ"に磨きをかけていたのだ。
現在、自分の考え方や努力によって何においても変える事ができる、変わる事ができると信じている。頑張ればテレビや本で私の自信に満ちた顔を世間に知らせる事だってできるはずだ。自分はこの程度だなんて思っては決していけない。

三つの概念を挙げさせてもらったが、概念とは人間の精神内部に存在する何かであり、人それぞれが思うその何かの集合に対して使う言葉だ。冒頭の日本人パティシエは日本人を代表する考え方、従業員は中国人を代表する考え方という意味で【概念】なのだ。そう考えれば上に書いた私一人の思い込みだけでは概念とは言えないのだが、これは"お金で苦労する人"という集合の中にある私が掲げる"お金で苦労する人の為の概念"としてみてもらいたい。
"金"に関する概念では"過去"の考えを書く上で金に"お"を付けていない、しかし"現在"の概念では金に"お"を付け"お金"としている。お金をどの程度尊重するか、これこそが"お金で苦労する人"と"お金に苦労しない人"の概念の違いではないかと思う。仕事に関しては義務と感じているのか楽しんでいるのか、自分自身については将来性を自分に期待できるかできないか、そんな考え方の違いが成功する人としない人の概念の違いなのではないだろうか。
考え方が変わるという事は持つ概念が変わるという事、持つ概念を変えれば己も自然と変わっていくものだと私は思う。

只今の借金5892000円　総返済額108000円　
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