自分制御ゲーム

私はどんな事でも"自分との戦い"とかこつけるようにしている。パッと見て部屋が汚いなと気付けば『片付ける』か『そのまま』か、仕事が暇で何もしなくてもいい時間があれば『前倒しで仕事を進める』か『休む』か、ビールやタバコを計算外にのみたくなった時に『我慢』か『欲望に任せる』か。他にも細かく言えばキリが無いが、『楽』か『苦』かの選択を迫られる状況は一日に何十回と訪れるものだ。
相応に豊な暮らしをしている人は気付かないかもしれないが、そうとは言えない人にとっては"自分制御力"を試される機会の多い事に悩み、苦労し、その上で妥協や辛抱という結果を生み出しているはずだ。もちろん、"自分との戦い"での勝利は『苦』を選ぶことであり、『楽』を選ぶことは敗北となる。引き分けはこの勝負に限ってありえないものとする。
勝負と言っても、これは完全勝利はありえるものの、そんな毎日を送っていては息が詰まってしまうし、人生そのものが何かを見失ってしまう。だから勝ち越せば良いものとするのがこのゲームを楽しむコツだ。１１勝０敗も６勝５敗も同じクリア、ただ、人生をいかに楽しんでいるかという尺度で見れば、６勝５敗の方がより頭の良い計算された勝利と言えるのかもしれない。そして、自身の向上を目指すなら毎日に"圧勝"を望むというのもありだ。
私の場合は借金というハンデがあるので勝率８割を目指している。言葉を変えると『苦』が８割、『楽』が２割だ。２割というと窮屈に感じるかもしれないが、真面目に人生に取り組んでいるとこの２割がいい息抜きになるものであり、そして有り難くも感じるのだから不思議だ。２割もあれば十分と思ってしまうのだ。
不真面目に生きている人ほど『楽』の価値は低くなる一方で、『苦』に対する考え方の価値は増大しがちなのだと思う。以前の私がそうだったが、『楽』が当たり前となり、『苦』は異常なほど耐えがたく感じたものだ。向上心が全く無かったという証拠である。人の目を気にして仕方なく選ぶ、先に更なる苦労が目に見えるから今のうちに選ぶ、そんな『苦』しか選べなかった。そんなのは勝利と言えるわけは無く、私は全敗だった。
このゲームの良い所は、今の自分がどの程度真面目に、向上心を持って生きているかが分かるという所だ。仕事でもいい、家事でもいい、節約でもいい、全部ひっくるめた人生でもいい。自分の決めた分野で勝ち越しを目指して達成できるかできないか、達成できても苦労したのか意外と楽だったのか、それがその分野での、今の自分の真面目さや向上心に関するバロメーターだと考えるのだ。
このように考え、いざゲームを始めてみると意外なほど自分を制御できるものである。『苦』か『楽』か迷った時には大抵『苦』を選ぶようになる。人間の持つ競争本能が作用しているのかは分からないが、やはり『敗北』よりは『勝利』のほうが気持ちがいい。『楽』を切り捨てる最後の瞬間まで、何かモヤモヤしたものが体中を駆け巡っているが、思い切って切り捨てる判断を下した瞬間にそれは小さくなっていき、後に残るのは清々しさという気持ちの良さ。
積み重ねる『勝利』が自信となり習慣となる、これがこのゲームの真髄だ。
このゲームの開発者である私は、ちょっと前までは勝率８割くらいをキープしていたのだが、今現在、理想が高くなってしまって勝ち越すことが困難な状況だ。ＲＰＧの展開の節目で、楽勝だったものが急に困難に陥る状況と同じなのかもしれない。勝利した後には更に大きな敵が待ち構え、勝利に気を良くし調子に乗ってしまうと、とてつもないボスを自ら作り出してしまう。
ふと考えついてしまった"自分との戦い"のテーマが困難なものでも削除してはいけない、これもルールの一つだ。ＲＰＧで自分の操る主人公が、苦手な敵に出くわしたからといってリセットするというズルはしてはいけないのだ。その敵の強さを知る事が次に繋がるかもしれないからだ。

自分の向上心や勤勉さに自信のある人はぜひ試して欲しい。そして、自分に自信が無く、変わりたいと思っている人にも試して欲しい。
長く書いてしまったが、実際は簡単なのでちょっとした暇つぶしとしていかがなものか。ゲーム、暇つぶしという感覚で遊んでみると、自分制御もなかなか気楽に訓練することができるものだ。

只今の借金5916000円　総返済額84000円　
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