水平思考

既に多くのブログやニュースで取り上げられている『亀田ファミリーの失態』。負けたら切腹という公約に面白おかしく罵声を上げる人、スポーツマンシップを掲げ厳重な処分を求める人、冷静に試合を振り返る人、いろいろな意見がネット上に流れているのを見た。私の試合直後の感想はと言うと、"生意気"な亀田大毅が負けた事に、国民の期待に応えた内藤の勝利に興奮したというのが本心だ。ただ、亀田大毅の挑発的な姿勢の裏やプロレスを思わせる反則技を仕掛けた思いというのを考えると、自分の持った感想をそのまま自分の考えとして持つという事に疑問を持つ。


私は過去の自分を、"小心者"で"ずる賢く"て"無難"な"ぶりっこ"だと振り返ることがある。喧嘩する人を見ては"野蛮"だ、上司に自分の意見をぶつけて反感を買う人は"愚か"だ、このような感じで自分を他人にぶつける事ができない事実を"良い人"と思い込むことで肯定していたのだ。だが、社会的には"良い人"であっても自分を殺してしまっていてはダメだと最近になって気付いた。今日はその思いを日本の戦国時代の話を使って書いてみようと思う。
私の考え方を変えた戦国武将の名は『豊臣秀吉』。織田信長に仕え地位を上げていき、後に天下を治めた知将である。その秀吉は現代でも上手に生きられるような実に巧みな考え方の持ち主であった。
信長の下にはカリスマ性と実力から、後に歴史に名を残す明智光秀豊臣秀吉柴田勝家をはじめとする多くの武士が望んで仕官していた。ただ、信長は極めて冷酷でわがままな人格だったらしく仕官していた武士からは恨まれる事もしばしば。そのような信長の考えに、明智・秀吉・柴田の3人は異なる行動をとっていた。
柴田勝家は信長に従順なイエスマン。自分を殺し、忠義を尽くすことで生き残りを図る人生だった。損する事になろうとも、大事な人を失う事になろうとも絶対服従の忠勤ぶりを信長に示したわけだが、後には他の二人に石高や戦果で逆転を許してしまう事となる。明智光秀は基本的に柴田と同様のイエスマン。だが後に自分の考えとの違いに、かの有名な本能寺の変という謀反を起こし信長を討つ事となる。
豊臣秀吉はこの二人とは少し違う行動をとる。わがままな上司を持つと柴田勝家のように『自分を殺す』、明智光秀のように『自分らしさを尊重する』、この二つの道を思いつく訳だが、秀吉はこのどちらもこなした。「人質を殺せ」と命令されると、その人質を後々の事を考え遠方にかくまいながらも報告は成敗したと言い、「全山皆殺し、寺は燃やし尽くせ」と命令されると、密かに罪の無い僧侶や女子供を逃がしながら後に国宝となる宝物を運び出していたり、「早期に城を落とせ」の命令には、無駄な殺生をしない為に長期兵糧攻めを行なうが、信長の送った監視役を説得して難攻不落の状況をでっちあげて信長を納得させている。要は命令に表向きには背かずに自分も殺していない。このような悪く言えば"ずる賢い"考えではあるが、上司を立てる事や自分らしく生きる事への気持ちという大切な点を上手くやり繰りした知将であった。
ある問題が起こった時、どちらを選んでも絶体絶命となる答え"A"と"B"の二者択一を迫られた時、Cという第三の答えを機転を利かせて出す考え方を『水平思考』という。これは今ビジネスの世界で注目されている考え方の一つ。秀吉はこの現代において必要不可欠な考え方を持っていたのだ。
今の時代は我を強くすると社会不適合とみなされ、かといって"良い人"を演じていれば自分らしさを見失う…こんな時代だからこそ秀吉の考え方は私の憧れだ。



話を亀田の話に戻すが、もしかしたら亀田大毅は上手さは無かったが秀吉のような考え方を出来る人なのかもと思ってしまう。上司である父親の方針、自分らしさの象徴であるあのキャラクター、それぞれを大切にしながらの試合。勝利という形で応援してくれている人への期待に応える事ができないかもしれない、上司の期待に応えられないかもしれないという"目指す成功"への危機感、自分らしさがこの試合にただ負ける事で消滅してしまうかもしれないという危機感、このような絶体絶命を感じながら迎えた最終ラウンドに出した第三の答えがあのパフォーマンスだったのかもしれない。
若さのせいか、それはお世辞にも上手いとは言えない答えだったとは思うが、自分らしささえ持てていない私は彼を非難しようとは思いたくない。彼はもしかしたらこの試合をバネに成功を手にするかもしれないし、何よりも"亀田大毅らしさ"を失わなかったのだから。
これはあくまで仮説であり単に悪童なだけかもしれないという可能性はあるが、ボクシングでは稀に見る注目のされ方をする選手なのだから、このような仮説を立てこれからも注目していきたいと思う所存だ。


さて、締めは私の話。
柴田勝家のように無難に生きる事は今の私にとって避けたい考え方であり、とは言っても明智光秀のように我を出しすぎると社会的によろしくない。難しいが秀吉を目指していく事に光を見出したいと思う。
結果がどう出ようがガムシャラに生きる強い自分に変えていくとともに、その一方で機転の利いた第三の答えを出せる『水平思考』のできる人になれるよう精進していきたい。

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