黄金比という摂理

今日は図書館へ行った。いつも借りる週刊・月刊誌などの雑誌に読みたいものが無く、少し背伸びして分厚い単行本を借りてみた。昨日まで時間の足りなさを嘆いていた私が、そんな分厚い本を読む時間があるのか？と思うかもしれない。だが、そこは時間の圧縮という私でも集中できる小さな目標の繰り返しで、無料と言う甘えに屈せず読みきりたいと思っている。その目標が一日何ページ･･･いや、何行になるかもしれないが、空いた時間を上手に使って目標を達成していきたいものだ。
そんな今の私の生活にかかせない本にはある決まり事がある。それは白銀比と言われる縦と横の比率だ。これはＡ４やＡ３といった用紙のサイズの型であり、1：√2(ルート)という日本古来からの木割を基にしたものらしい。建築界にも重宝されるこの白銀比は、安定した飽きの来ない美しさとして活用されている。なぜ用紙サイズに使われているのかと言えば、それは長手方向に2つに折りたたんだ時に元と同じ型になり、大きな紙を切るだけで小さなサイズを用意できるという融通性に優れているからだという。

今日はこのような自分の中にある公式について考えてみたい。
まず、今の私の状態を式で表すのならば、【堕落＋傲慢＋怠慢＝多重債務】【収入−遊び金＝−資産】となる。比率という式で表すなら、【今の最低限の生活費：今の収入】で考えると、やっとこさ【1:1】という感じか。
今の世の中、多くの人が夢見るのは【1:∞(無限)】であると思われる。収入が多ければ多いほど自由が利き、夢は大抵実現する世の中なのだから当たり前なのかもしれない。私も以前はそんな夢を抱いていたが、今では【1:1.1】がとてつもなく遠く感じるものであり、大きな目標でもある。
この【1:∞】という比率は時間でも当てはまる。【仕事など社会的に最低限使う時間：自分の為に使える時間】という式だ。
私の場合を一日24時間で細かく割り振りして考えてみる。【通勤を含める仕事・借金返済関連：自由時間】で考えると【16:8】というのが現状になる。"8"は、睡眠・食事と各作業の合間に入れる休息の和だ。これを考えると、私の過ちの大きさと"普通の生活"とのギャップをあらためて痛感してしまう。
自分への卑屈な分析はこれくらいにしておいて、前向きに考える理想の公式を考えたい。
そもそも公式とは何なのか、まずそこからだ。上に書いた現在に至るまでの私の式も今の世の中にありふれる公式であり、【1:∞】も時代を問わない世間的な公式だと言えることを考えると、人生における公式とは常識というルールを表しているものと考えられる。怠けていればいつかはその見返りがくる、人間の欲深さはとどまる事を知らないというのも常識的な人間のルールなのだ。
では、前向きで理想的な人間のルールとは何か？
私はそれを『人間が無意識に美しいと感じてしまう、宇宙一美しい数値』に見たいと思う。冒頭に書いた白銀比よりもすばらしい比、『黄金比(黄金率)』がそれだ。黄金比とは、白銀比のように人間が作り上げた都合の良い比率ではなく自然と感性に働きかけられるものだ。人間が自ら作り上げたものが白銀で、自然に感じられるものがなぜ黄金と言われるかの所以をいくつか紹介してみる。
蜜蜂のメスとオスの比率、植物の茎に葉がつく配列、松かさの鱗片・ひまわりの頭花・オウムガイの貝殻に構成される螺旋の内側に対する直径･･･この全てが【1:1.62】という黄金比から成っているのだ。読むだけでは信じられないと思う人は自分の体で検証してみるといい。【身長：床からへそまで】・【肩から指先：肘から指先】・【腰から床：膝から床】･･･すべてが不気味なほど黄金比から形成されるはずだ。
私はこの黄金比から世界が作られて、それが人間の感性に働きかけるという事を知った時、もしかしたら身近な時間や収入と生活にも当てはまるのではないかと考えた。
一日24時間を黄金比で考えると、【仕事に関する時間9,2時間】:【その他の時間14.8時間】となる。さらにその他の時間に当てはめると【自由時間5.7時間】:【睡眠・食事9.1時間】となる。自由時間はともかく、睡眠と食事の9.1時間は提唱される理想と相似しているでのはないか、そして仕事も通勤時間を含めると労働基準に定められる時間にほぼ一致する。また、収入における娯楽・雑費と生活費に関しても、人が充実して暮らす上で【1:1.62】は無難な数値と言えるのではないか。暇があったらぜひ計算してみてほしい。
このような事を考えると、私の一日24時間の使い方である【仕事に関する時間16時間】：【その他の時間8時間】は全く逆転している事がわかる。どうりで楽じゃないはずだ。私が黄金比に自分のルールの理想を抱くのがわかってもらえただろうか。

人生何事も普通が一番。【1:1.62】の"1.62"をより大きな数値に置き換え夢を見るのもいいが、それは宇宙に逆らう事で何かしらの不釣合いが生じる事になるのかもしれない。現に私は時間と収入の配分の仕方で痛い目にあっている。
全てが黄金比で説明される訳ではないと思うが、人間は生命という莫大な組織の中の一つであり、私もその一部である事を考えるとすがりたくなってしまう考え方でもある。

自分の中に公式(ルール)を設定する事は大切な事だ。充実・効率という仕事や人生において必要不可欠なものを安定させてくれるからだ。その公式(ルール)を自分の中に細かく・多く持っている人が今の世の中を上手に渡り、成功を収めているのかもしれない。

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