Let it be

私は今、借金返済をテーマとした生活をしている。それは節約であり、このブログであり、妥協や甘えを一切許さないという自分との戦いでもある。戦いといえば私は好きな日本史の戦国時代を思ってしまうのだが、今の私は斬れる刀も持たず、切れる頭も持たず。ただ黙々と思いついた"やるべき事"・"やらなければいけない事"を悪戦苦闘しながらこなす毎日だ。
人はある目標を立てた時、それに追随する"モチベーション"を維持していかなければやっていけないと思う。私の三日坊主の癖もモチベーションの低下に付随するものがほとんどだ。何でも、どんなに意気込んでいてもモチベーションの低下は人間が故に免れないのだと思うが、そこから持ち直しせるかどうかが目標達成への試金石となる。そして、そのモチベーションの背景にあるものが何なのかが一番のモチベーション維持のポイントとなる。
私の借金完済という目標へ向けて維持されるモチベーションの背景にあるものは何なのだろうかと考えてみた。自分の将来への危機感か？お金か？自分への罰か？･･･まずパッと思い浮かんだのがこの3点だ。このまま借金を積み重ねると生活も難しくなる、真の意味で自由になるお金がほしい、社会的責任を果たさず自己中な生活を送っていた事への恥じ･･･私が借金生活に終止符を打とうと決心した腹の中にどれも間違いはないが、これだけでは私の得意技である三日坊主に終わるのが自分でもわかる。『Let it be(なるようになる)』を自分の座右の銘に据えてきたこれまでの私は、妥協・不安・困難と自分に不利な場面はこの言葉一つをモットーに逃げ続けてきたのだから。
"お金"をモチベーション維持の背景に据える事が全く当てにならない事を私は経験から心得ているつもりだ。親孝行したい、優雅な生活をしたい、他人から羨まれる存在になりたい、こんな誰もが考える人生の目標に対し、"お金"だけに絶対的な価値を見出していた私は、目標に対するモチベーションの維持を一攫千金という夢に見てギャンブルにはまっていった。絶対的な価値が表面化しているものを背景とした結果、次第にそれは背景でなく主題となり、それ一つしか見えない状況が生まれて消費者金融へと走っていった･･･"なるようになる"と。
"将来への危機"というのも私の『Let it be』精神の前には脆い砦となる。今でこそ謙虚にへりくだって物事を考える事を心掛けているが、過去に培った私のナルシスト的な考えは消えていないと考える。自分は奇跡を起こせる、自分は生まれ持った強運がある、自分はどんな逆境をも覆す強い精神がある･･･そんな一面が私の中に影を潜めていると考えると、将来の貧困が"危機"であるならそれは映画のような一発逆転ストーリーを想像する事で"危機"が危機で無くなる。貧困からでもいつかは逆転できると考えてしまうに違いない。故にきっと妥協する時がくる･･･"なるようになる"と。私の持つナルシストな一面はよく考えれば前向きなのかもしれないが、根拠のない前向きは無謀でしかない事を私は知っている。
"自分への罰"だが、これほど私に都合のいい背景は無い。罰とはそれを受け耐える事で許しを得るものであり根本的な改心が約束される訳ではないし、なにしろ遊びで借金を重ねた自分が監視するというのが信用できない。おそらく何もかもに疲れてしまった時、私は自分の過ちを不正に肯定することで負担を軽減していくはずだ。そして挙句の果てには借金の意味さえ都合のいいものに変え、返済も義務として考えなくなるだろう･･･"なるようになる"と。
では、私の借金返済生活に対するモチベーションの裏づけとなっているのは何か。"なるようになる"とも言えないような絶体絶命の危機の状態にあるもの。
それは周囲の期待に他ならない。周囲といっても私を取り囲む全てという広いものではなく、親身になって私の事を見守ってくれている人達の事だ。いくら迷惑をかけても頼りにしてくれる、いくらひどいことをしてもついてきてくれる、いくら期待を裏切ってもまた期待してくれる、そんな家族の期待が私のモチベーション維持の背景となっている。こればかりはもう、"なるようになる"とは思えない。信用あっての絆、これこそが私の借金返済生活を根本的に支える背景なのだ。
例えどんなに先の見えない未来でも、例えどんなに貧乏でも、その過程が真っ当なものであれば私は評価されるはずだ。そして、自分で自分に与えるどんな罰よりも、家族に愛想つかされ見放される事が私には重い。そんな事を考えると低下したモチベーションは一気に上昇し、目標へ向かって前進できる。今やっている事すべてが辛くても救われる。
斬れる刀・切れる頭で世の中の敵より一歩前に出る事ができなくても、信用で築かれた後押ししてくれる家族がいるだけで私は少しずつ前へ前へと進み続ける事ができる。その後戻りのない毎日の積み重ねが、後に気づいてみたら誰よりも前に進んでいたというのが私の理想だ。

"なるようになる"と過程をないがしろにして結果を急ぐのではなく、"なるようになる"と過程を尊重し結果を待つ事、これが『Let it be』における真の意味なのだと考え直し、今を生きていこうと思っている。その過程を尊重する上で、ギャンブルで借金重ねるような自分を投げ出さないで見守ってくれている家族を大切にし、自分を甘やかさない事を約束すれば、ナルシスト的な私の自尊心も良い意味で"なるようになる"のかもしれない。

只今の借金5868000円　総返済額132000円　
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