三本の矢の真意

ギャンブルでも何でもそうなのだが、巷では誰もが知っているような有名で支持を得ているものよりも、"主張しない陰の実力者"的な脇役に興味を惹かれるのが私の性格だ。故に競馬では大穴ばかり、パチンコでは大ハマリしている台、プロ野球やJリーグでも世間では弱いと認識されるチーム、好きな映画俳優では主役で出演した作品は有名にならないが、脇役で出演した時には主役以上に存在感を出す"モーガン・フリーマン"なんかに興味を惹かれる。
その分野でトップにはなれないが、トップとは違う『秘めた才覚』で逆転を思わせるような"私だけが知っている"的な要素に期待を込めるのが大好きなのである。

そんな私が好きな歴史上の偉人の一人に毛利元就という人物がいる。戦国時代の好きな人を挙げろと言われてこの人を挙げる人は少ないのではないだろうか。名の知れた武将も多く、"戦国"というだけに圧倒的な武力を前面に押し出した武将のほうを挙げる人の方が普通に多いはずだ。毛利元就はどちらかと言えば遅咲きで、知力で勢力を広げた策士である。戦国の世に表立った軍事力の強さではなく、本質を見抜いての裏を掻き上手に世渡りしていく生き方が"毛利流"だったのだ。"剛"の求められる時代に"柔"で勝ち進む・・・そんな"静かなる強さ"が、私が毛利元就を好きな理由だ。
毛利元就の生き方がわかるこんな話がある。
敵対する二つの勢力に自分の領土を挟まれた時、元就は二つの勢力に表面上は味方として応対し、双方との関係を上手く取り持っていた。これは悪く言えば"八方美人"ともとれるかもしれない。だが、戦国の世に曖昧な行動をとる事は国のトップにしてみれば信用を落としかねないリスクでもある。どちらについたほうが得かの自分の信念からなる二択ではなく、水平思考によって3つ目の答えを導き出し国の存続の道を切り開いたのだと私は考えたい。自分の信念と現実への応対を見事に使い分けていたのだ。
おそらく、戦国時代における"トップが持つべき信念"を貫き通し、どちらか片方についていたならば、もう片方の怒りを買って自国の危機を迎えていたに違いない。実際そのような判断の間違いから自国を滅ぼした戦国大名は多い。後に、毛利元就は機が熟すのを待ち両勢力を破っている事で、軽い八方美人ではなく考え抜いた策であった事がわかると思う。
不仲の社長と専務が喧嘩していて、それを仲裁する部長(妻子持ち)を想像すればわかりやすい。自分の信念を大事にするならばその信念に近いほうにつくのが男らしいのかもしれないが、その二択は決して利口とは言えない。そのリスクは自分はおろか家庭も危機に陥れる可能性があるからだ。一先ず上手くその場をなだめ、どちらかが会社の中で明らかに力を落とした時に力のあるほうへ傾き、最終的にその片方も飲み込んでしまうのが最良なはずだという事だ。

この毛利元就の戦略から学ぶ点は、物事の本質を見抜いた上で最良の行動を自分の信念を抑えてまで実行できた事。これは自分の内包する相対した考えを自由に操れるという『自分制御』術そのものだ。言い換えれば優れた『二面性』を持っていたという事。
人は得てして物を比べる時には"悪い点"から見ることが多いと思う。そうすれば簡単に消去法で一方の"良い点"が浮き彫りになってくるからだ。しかし、これでは一方の"良い点"の全てを知らずに終わってしまうことになり、"取るか捨てるか"の取捨選択となってしまうからもったいない。何事にも自分の為に多くを得たいのであれば、"悪い点"から比較してしまいがちな一面を抑え、両方から"良い点"を見つけ出し認めるという一面を持たなければならないのだ。上に書いた社長と専務の喧嘩では、双方の良い点を並べて喧嘩をなだめる事がそれにあたり、結果的にそれは自分に還元される。
自分の信念から「あれはダメだ」「これはダメだ」と切り捨てていくのは簡単だが、「あれは良いな」「ここは良いな」と自分の信念を抑え認める事は決して簡単では無い。だが、後者のほうが実る果実は大きいということだ。
毛利元就に関わる逸話で『三本の矢』という有名な話があるが、これは単に「一人の力よりも三人の力のほうが大きい」ではなく、「取捨選択により数が少なくなるよりも、良い所を認め合って力にしていく事が大切だ」という事が本意ではないかと私は思う。


家族や仕事をないがしろにし、ギャンブルにある夢や自分の満足という"自分に都合の良い点"だけを見て借金を重ねる事になってしまった私。今になって考えれば、こんな私を支えてくれる家族はもちろん、仕事だって今の借金生活にだって"良い点"を探せばたくさん見つける事ができ、それが私の人生の糧となる事を実感している。


冒頭に書いた通り捻くれた趣向の持ち主である私だが、これは"悪い点"を切り捨てないで"良い点"を見つけ認めていた事になるのではないか。借金を重ねて周囲の方々に迷惑をかけているこんな私でも、何気なくだが筋の通った考え方をしていたようだ。これも私の数少ない"良い点"の一つなのかもしれない。借金という"悪い点"しか見えなくなってしまっていた私だが、このような小さなものでも"良い点"として捉え、力にしていく事が大切なんだ。

只今の借金5858000円 総返済額142000円 
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