現代版『平家物語』

ギャンブルに明け暮れた10年間、私は思いっきり楽しんでいた。高校卒業してから覚えたパチスロは、当時のちょい悪ステータスには欠かせないものと感じて必死に勉強したものだった。詰め込んだ知識とテクニックは周りの素人友達から尊敬の眼差しを浴びているかのように感じられ、お小遣いだってそれなりに増えて社会人成り立てのペーペーとは思えない暮らしぶりだった。皆がコツコツ貯金している時、私は使い切れない泡銭を貯金にまわした。
それから数年、娯楽から義務へと変わってしまったギャンブルに私は溺れた。貯金を切り崩し、仕事も手につかず、借金をしてまで私はギャンブルで大仕事を成し遂げようとしていた。
コツコツ貯金していた友達、せっせと仕事に励んでいた友達、大学に進み良い企業に就職した友達、既に社会の仕組みに興味を持ち堂々と弁論する友達・・・私は一昨日、そんな同級生達と酒を酌み交わした。

ギャンブルで得た収入が自分の力の証だと信じ、その過信した自分の力に人生を賭け10年間見続けた夢が、借金600万という現実となり私に重くのしかかっている。泡銭・借金という架空の資産に栄華を極め、大きな顔で友達付き合いしていた数年間がとても懐かしく、生活も人間的にも貧困を極めている現在がとてもみじめに感じてしまう飲み会だった。


平家物語にこんな有名な節がある。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。
猛き人もついに滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
(どんな盛りも時間が経てば必ず衰える、世は無常なものだ)

この平家物語の一節、順風満帆な人生を送る者に対して今風に言えば「いい気になるな」ということだろうか。それとも「せっせと休まず時の流れにも負けない土台を作り続けろ」ということだろうか。それとも「何があってもいいように必要最低限の謙虚な生活を心掛けろ」ということだろうか。
まぁ今の世の中にはどの教訓も必要だと思うが、私は…順風満帆と言えない私にとっては『諸行無常』と『盛者必衰』を前向きに捉えてみたくなる、弱者を励ます意味合いなのだと。
諸行無常』・・・永久不変のものは無いというこの教えは、今の私の借金生活もいずれは変わるという事なのだと思いたい。私の過去も無常によって転落の一途を辿ったわけだが、これは成り上がりの前触れであり、底辺にいる今が一番恵まれているのだと考える。
『盛者必衰』・・・沙羅双樹(夏椿)が花びらを地面に散らすように枯れる様を例えたこの言葉は、どんなに栄華を極めている者でも必ず終わりがくるという教え。だが、世が無常であるなら散ってそのままという事はありえない。命があればまた花を咲かせることができる事を意味するのではないか。
二つの教えを前向きに考えるとこんな感じに捉える事ができるが、これは条件付の前向き論となる。
諸行無常』の"諸行"とは悟りを開くまでの「善の行為」・「修行」という意味がある。これは"世の為・人の為"と"自分の為"と言い換えられ、悟りとはこの二つのバランスがとれている状態の事を言う。よって、自分が無常である(変わる)為には"諸行"が不可欠なのだと考える。
『盛者必衰』は夏椿の生死から例えられた言葉だが、植物が生きる(再度花を咲かせる)為には栄養分が不可欠となるはずだ。人も同じで、強い根を持ちそこから生きる力を絶えず得ていかなければならない。よって、無常の中で花を咲かせる為には生涯勉強しなくてはならないという事、そしてそれを止めた時、本当に人は衰えてしまうものだと考える。






親しい友人との飲み会…立派に社会人している友達が大きく見えて少々凹んだ私だが、そこは現実、受け入れるしかない。前向きに、自分が良い意味で無常である為にこれからを頑張るしかない。
平家物語』とは、登場人物が千人を超えるそれぞれの宿命を描いた作品だ。人生というのは無常だから面白く、価値があるのかもしれない。私も借金に苦しむ人の多い現代の浮世人として、宿命をこのブログに書き記していきたいと思う。

本日の返済額5000円(小口消費者金融) 只今の借金5834000円 総返済額166000円 
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