野に咲く花のように
"権謀術数"という言葉がある。人を蹴落として自分が這い上がる為の戦略の事だ。資本主義において"権謀術数"無くして勝ち組になるのは難しく、知らず知らずのうちにそのような策を考えてしまうのが現代人だと言える。
このような考え方が蔓延する背景には、やはり問題となっている拝金主義があると思われる。戦争も、仕事も、起きている事件のほとんどが、人を騙したり陥れたりする策略や駆け引きが引き金となっていて、その影には必ずお金や権力といった利益がある。そして、その中で勝ちあがった人達が作り出した"溢れる社会"が、今度は「モノ・カネ」を超える自己満足の世界を求める傾向を打ち出し、元来は逆境となり得なかった場面まで逆境や苦に感じてしまうケースや共存をはき違えた価値観が生まれてきたのだと思う。
歴史とは面白いもので、長い間語り継がれるような"教え"はほとんどが華やかな人生を否定する。現世の利を追求する事が主と言われる道教でも、利は長生きして多くの事を学ぶ事とし、決して「モノ・カネ」を対象とした利ではない。まるで今の日本のような「モノ・カネ」に溢れる事が、どれだけ人間に害を与えるかを知っていたかのように私達に語りかけてくる。もしかすれば「モノ・カネ」を大切にする価値観を説いた"教え"も存在したのかもしれないが、それはおそらく現在コンビニに並んでいる"簡単に金儲け"的な雑誌のように出ては消えていったのだろう。
もう何年前になるのだろうか、私は「裸の大将」というテレビドラマが好きだった。ランニングシャツに短パン、リュックサックと絵がトレードマークの芦屋雁之助演じる「山下清」のドラマだ。なぜ突然今日「裸の大将」についてをブログに書こうと思ったのかというと、ニュースで事件やお金に関する話題を見ているうちにポッと頭に浮かんできたからだ。お金持ちに憧れ、ギャンブルに手を出し、借金だらけとなり、周囲に迷惑をかけ、結局自分のやりたい事ができていなかった二十数年・・・そして今流行の暗いニュース・・・記憶の隅でおにぎり食べていた裸の大将が急に羨ましく、そして大きな人間に思えてきたのだった。
山下清は放浪画家として知られているが、その放浪のきっかけは施設と戦争徴兵からの逃亡が理由だったとか。"絵を描きたいから・自由を求めて"なんてかっこいい理由ではなく、ただ嫌な事から逃げ出したくての放浪らしい。小さい頃の病気で言語・知的障害となってしまったという事なので、ただ本能のまま自由を求めていたのだろう。「モノ・カネ」に捉われず…というかそこまで考える事ができなかったのかもしれないが、自然の景色や放浪する開放感に価値を見出せたあげく、それに対する自分の表現が世間に評価されたというのは幸せな事だと思う。
「じ、人生を楽しむとは、こ、こんな単純な事なんだな」・・・芦屋雁之助扮する山下清がしかめっ面でこう言ってる姿が頭に浮かんでしまう。
権勢や利益、豪華な生活や煌びやかな装飾類・・・このようなものに価値を感じないのは清廉潔白な人格の証だと思う。そして、"権謀術数"という他人との駆け引きに優れない人・・・これもある意味賢明だと言える。山下清のような生き方は現代の考えからすれば賛否両論だと思うが、長い"人の歴史"から見ればお手本と言えるのかもしれない。
私が目指したいのはその上をいく人格だ。「モノ・カネ」の価値を"知りながらも惑わされない"のは"知らなくて惑わされない"より清廉潔白であり、"権謀術数に優れないから…"よりは"優れているけど濫用しない"ほうがより賢明だと思う。
私は借金によって、「モノ・カネ」の価値観を良い悪いの両方で考える機会を得た。また、相手との勝ち負けよりも自分自身の中での勝ち負けのほうが大切なのも身に染みてわかったつもりだ。決して褒められたものじゃないが良い経験だと思っている。これらを大きく捉えた上で、山下清のように自分のやりたい事を続けながら、自由に・バランスを取りながら・人を思いやって・・・野に咲く花のように生きていけたらどんなにすごいだろうと考えしまう今日この頃だ。
野に咲く花のように風に吹かれて
野に咲く花のように人を爽やかにして
そんな風にぼく達も
いきてゆけたらすばらしい
時には暗い人生も
トンネルぬければ夏の海
そんな時こそ野の花の
けなげな心を知るのです野に咲く花のように雨にうたれて
野に咲く花のように人を和やかにして
そんな風にぼく達も
生きてゆけたらすばらしい
時にはつらい人生も
雨のちくもりで また晴れる
そんな時こそ野の花の
けなげな心を知るのです
『裸の大将』主題歌 作詞：杉山政美 作曲：小林亜星
只今の借金5834000円 総返済額166000円
ﾟ･*:.｡. .｡.:*･゜ご訪問に感謝いたします。ﾟ･*:.｡. .｡.:*･゜
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