現代版【浦島太郎】の結末

今日のニュースでネットゲームに関する犯罪が流れていた。ゲーム上で使うポイントを不正に取得、他のプレイヤーに現金売買していたらしい。今のネットゲームはそのようなポイントのやり取りをプレイヤー同士で行なえるらしいが、電子マネーを使って普通に現金取引が行なわれるというのには驚いてしまった。
少し前に話題になり始めた"セカンドライフ"(リンデンラボ社)という仮想空間があるが、そこでもネット上に存在する貨幣を現金に交換できるとか。既にセカンドライフ内でのビジネスに成功し、巨万の富を築いた人もいるというのを本で読んだ事がある。それに似たネット上の仮想空間も発表されているみたいで、"meet-me"(株式会社ココア)という現実的な東京をネット上に展開したサイトもあるようだ。
このようなネット上における仮想空間が流行りだしたところで、私のような現実をやっとこさ生きている人間がそこに住み着いてしまうのはとても危険・・・現実逃避といわれても何も言い訳が出来ない。まぁ私が借金をしてしまった過程も現実逃避と言ってしまえばそうなのだが、熱中しすぎて何かのきっかけで我に返ったとき、現実世界で取り返しのつかない事になっているというのはよくある話だ。



昔から語り継がれるお伽話に"浦島太郎"がある。何か自分の話のように感じてしまう話だ。
浦島太郎は子供達にいじめられている亀を助けた事によって竜宮城に招待されたが、私の借金人生における亀と竜宮城は何なのだろうかと考えてみる。
亀の話。浦島太郎はいじめから亀を救ったわけだが、私の場合は"自分が可愛い"という気持ちが強すぎた為に、社会人としての厳しさから目を背けるべく、"自分自身"に逃げ道を作ってあげたのだと思う。要は己が楽になりたいが為に自分で自分を助けたという事。自分の中にある"自己中心的・利己的な欲求"を解放してあげたのだ。
実際には、いじめでも何でも無く厳しさを感じるのが社会なのだが、何にしても中途半端で甘えてきた私にとって、社会人としての責任や厳しさが面白くなく、苦痛だった。下っ端は労働量の割に見返りが小さいもの・理不尽なほどの厳しい洗礼が付き物というのが私の飛び込んだ職人の世界・・・後にこれが自分の為になるとはわかるはずも無く、私は自分を救うという名目で"逃げ道"という道を選択したのだ。縛り付けるものから解き放たれた亀(欲求)は、私を楽なほうへ楽なほうへと誘導していった。(御伽草子での亀は後に乙姫へと姿を変える。)

竜宮城の話。私にとっての竜宮城とはお伽話同様にとても自由に溢れた仮想空間だった。仮想を現実に変えたのがお金だった。「もう少し、もう少し…」、これが現実ではないと知っていながらも私は為すがままに時間を費やしていった。私をもてなしてくれた乙姫(仮の姿は亀)はお金、楽しませてくれた鯛や平目はギャンブルといったところか。

楽しい一時を送りながら、私はその楽しさに熱中してしまい、他の事が考えられなくなってしまっていた。仮想空間が現実だと勘違い・・・いや、そうだと信じていたかった。だが、楽しい時間というのは苦しい中に見つけるから楽しく感じるもの。次第に私は我を取り戻し、ある種の不安を感じるようになる。
現実世界についてだ。借金の額・嘘偽りだらけのステータス・私の将来を思わせるような"借金により経済面だけでなく人間として失格の烙印を押される人々"の多発・・・私は急に現実世界へ戻らなければいけない衝動にかられる事となった。
現実世界に戻ってみると、想定外の時間を無駄に使っていた事に気付く。私の場合は10年経っていた。これからの10年は長く感じられるが、これまでの10年は楽してきた分だけ短く感じるものだった。幸い、浦島太郎の話とは違い"我に帰った時に家族を失っていた"ということにはならなかったが、ただ一つ竜宮城の思い出として手元にあった玉手箱・・・それが借金600万円。
面白おかしく語ってはいるが、なかなかこの現実は重い。



浦島太郎では"欲の代償"をテーマに、生きる道を説いているように思う。亀を助けるまでの立派な人格が欲によってここまで堕落する顛末を、そしてその代償による結末を・・・。強い意志や信念は崩れ、理性は働かなくなり、潔白な心は徐々に汚れ、人としての品格は低下してしまうのだ、たった一瞬の気の緩みのせいで。
何も「亀の誘いを断るべきだった」と言いたい訳ではない。仮想空間にずったりと腰を据えるというのが危険な事なのだと思う。ネットが普及し、いろいろな情報や知識を得やすくなって便利な生活を演出する反面、それを利用した犯罪が増えているのは事実。その犯罪は、仮想という"自分の思い通りに事が進む事で成長できる世界"と、現実という"自分の思い通りに事が進まない方が成長できる世界"の境を無くしていることが原因なのだと思う。

私の借金も同じで、"仮想空間にいた自分"が思い通りになる事で成長していたような錯覚をしていただけだった。現実では何も変わらず、時間を無駄にしていた分、代償として私には借金が残ったのだと思う。



御伽草子では、最後の玉手箱の煙で浦島太郎は鶴となって空に飛び立っていったという。そして亀(乙姫)と再び出会い末永く幸せに暮らしたという話になっている。縁起物としての「鶴と亀」はこの話が起源となって言うようになったらしい。
上にも書いたが、私の借金人生の竜宮城でもてなしてくれた乙姫とは"お金"の事を意味している。今、私は鶴となって玉手箱の煙に乗り、ゆくゆくは乙姫と出会える事で末永く幸せな暮らしができるんじゃないかなぁ・・・と、前向きに考えている。

只今の借金5834000円 総返済額166000円 
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